 |
ファイル交換ソフト止まらない情報流出とその実態
自衛隊・官公庁・大企業の情報漏洩が問題になっています。いままでは、人の手によって情報が意図的に持ち出されるケースがメインでした。これらは、犯人が顧客情報などを組織から持ち出して名簿業者に売却したり、クレジットカード情報等から不正に引き落とすなどして利益を得る事を目的としています。昨今話題になっている、ファイル交換ソフトWinny(ウィニー/ウィンニー)のかかわる情報漏洩は少し事情が違います。情報漏洩を実行する人は、悪意のある第三者ではなくWinnyを利用した情報保持者自身だからです。漏洩した情報が、特定の犯人ではなく不特定多数の人にばら撒かれ暴露される事から愉快犯的な側面を持っています。世界中でもこのような形での情報漏洩はめずらしく日本独自の事件といわれています。 |
Winny(ウィニー/ウィンニー)って何?
Winny(ウィニー/ウィンニー)は、インターネットを通してWinny(ウィニー/ウィンニー)を利用者とファイルを交換するソフトです。交換されるファイルは、ソフトウェア・映像・音楽・画像など様々です。交換が行なわれる特定の場所・サイト・ページ等は存在せず、無数のWinny(ウィニー/ウィンニー)利用者のパソコンを利用・経由して行なわれます。だれが、提供したファイルか判らない匿名性を持っており、その性質から違法なファイルの交換なども行なわれています。よく雑誌などでWinnyウィルスと表記される事がありますが、このソフト自体はウィルスではありません。Winnyで交換されるファイルに仕込まれたウィルスが実行される事により情報が漏洩します。最近では、別のファイル交換ソフトShareの利用者が増えており、Winny同様に情報流出を引き起こしています。
名前の由来・・・
少し前に同じようなソフトで製作者が逮捕された事件があったのはお覚えでしょうか?そのときのファイル交換ソフトの名前はWIN-MXでしたがその時期版?と言う事で MXの各アルファベットの次のアルファベットでごろあわせをした付いたといわれています
Mなら ABCDEFGHIJKL M N OP Mの次がN
Xなら QRSTUVW X Y Z Xに次がY ですので WINMXがWINNNYになったと言われています。
数字で見るファイル交換ソフトの利用者像
これだけの騒ぎを引き起こすWinnyをはじめとしたファイル交換ソフトは、なぜ使われているのでしょう
か。また、どのような人たちが利用するのでしょうか。
ファイル交換ソフトの現在の国内利用者数は、130万人と言われています。過去の利用者数も含めると更に大きくなります。パソコン利用者全体の3%に当たります。
最も利用者の多い年代は10代、ついで20代が多く、性別による割合は、男性が約65%女性が35%となっています。
音楽と映像 交換対象とされるファイルでは、音楽データが39%次いで映像データが36%となっています。写真・画像・ソフトウェアは、10%台で映像・音楽に比べて少なくなっています。音楽データの利用者は10代が多く映像データの利用者は30代が多くなっています。
過去一年で一人の利用者がダウンロードした平均のファイル数は役200個。
ダウンロードされる音楽ファイルの90%映像ファイルの86%は不正コピーされたファイルである可能性があると推測されます。
利用者の58%がADSL等のブロードバンドを利用していると言われています。
ファイルを提供した経験のあるユーザーは35%、残りの65%のユーザーは、ダウンロードだけを目的としています。ファイルを提供するユーザーは年々減少傾向にあります。
データの取得を目的とした初心者ユーザーが安易にファイル交換ソフトを利用し情報漏洩につながる背景がうかがえます。
※内容は、社団法人日本レコード協会「ファイル交換ソフト利用調査 2005年度」より当社独自で編集を行なったものです。
情報を流出させるウィルスの総称
「Antinny(アンティニ−)」
主にWinnyを介してデータの流出・他のPCへの感染を行なうウィルスをAntinny(アンティニ−)と呼びます。
Antinny(アンティニ−)は以下のような被害をもたらします。
・感染者の使用中のパソコン画面をインターネットで暴露します。
・パソコンの中のデータを第三者がインターネット上から自由に見れる状態にします。
マスコミで取り上げられた「警察、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、日本郵政公社、刑務所、
裁判所、日本の原子力発電関連施設」等からの情報漏洩はこの仕組みによるものです。
・アドレス帳・パスワードデータを第三者がインターネット上から自由に見れる状態にします。
・匿名掲示板にパソコン内部に関する情報を自動で書き込みます。
・感染したパソコンを互いにリンクすることで、芋づる式に情報が漏洩するようにします。
・セキュリティソフトを無効にして駆除されないようにします。
取り返しがつかない情報流出の恐怖
Winnyの情報流出で恐ろしい点は、流出した情報を消す事が不可能な点です。一度でも、Winnyに漏洩した情報は、日本中のWinnyネットワーク利用者のパソコンに拡散しデータが継続的に送りつづける事になります。流出したデータを消すには、Winny利用者が所有する全てのパソコンのデータを消去するしかありません。その方法は現実的にありえないとされています。
テレビ・雑誌などのマスコミによる報道では、この取り返しがつかない点に関わる問題点が十分に指摘されていないように思われます。本来なら流出した秘匿情報が永続的に公開されてしまう極めて深刻な問題です。家庭・企業に関わらずWinnyによる情報流出を起こさないよう心得る必要をお薦めします。
深刻な被害実態
Antinny(アンティニ−)による被害は個人ユーザーに留まらず様々な情報を流出させています。
これまでの事件では以下のような被害が発生しています。その一例
・民間企業
社員情報・顧客情報・会員名簿の流出
会員情報603名分の個人情報流出
アンケート利用者137人分の個人情報流出
塾にて中学生1,200人分の名簿流出
・自衛隊
内部情報
・警察
捜査情報・捜査資料・内部情報流出
事務用システム端末情報流出
個人情報4,400人分流出
・刑務所
受刑者情報を含む1万ファイル
4施設3,380人分の受刑者情報流出
・裁判所
競売情報の149人分の個人情報流出
・消防署
出火場所情報流出
|
・自治体
市職員による11,225人分の個人情報流出
住基ネットパスワード流出(北海道)
・学校
全校児童の成績表を含む名簿の流出
短大受験生1,051人分の合否情報流出
短大別年度入試情報流出
・病院
歯科患者50名分の検査結果流出
手術室の使用履歴2,873件流出
・宅配会社
誤配情況流出
書留の受領証リスト2,460件分流出
簡保加入者リスト流出(九州)
・電力会社
原子力発電所内部情報流出
発電所検査データ流出
火力発電所情報、個人情報流出(九州)
原発耐震資料流出(関西)
|
・通信事業者
携帯電話基地局情報流出
携帯電話顧客情報流出(静岡)
CATV顧客情報流出(兵庫)
CATV加入者情報1,378名分流出(三重)
フレッツユーザ約1,400名分顧客情報流出
・航空会社
副航空士のPCから制限区域暗証番号流出
搭乗ゲート暗証番号流出
・保険会社
代理店から顧客情報564人分流出
業務委託派遣社員のPCから顧客情報流出
取引先情報約8,000件流出
・メディア
TBSテレビ番組出演者情報約540人分流出
フジプレゼント当選者61名分流出
朝日全国高校野球学生アルバイト情報流出
毎日新聞読者65,690人分名簿流出(share)
・インターネットショップ
出店のワインショップ受注情報8,223件流出 |
情報流出に対する注意と対策
・ファイル交換ソフトによる情報流出を防ぎ、自らが被害者及び加害者にならない最良の方法は、Winnyを含めたファイル交換ソフトを使用しない事です。
・企業・個人所有のパソコンに限らず一度でもファイル交換ソフトを使用したパソコンは、ウィルス対策ソフトの使用・未使用にかかわらず情報流出の可能性があります。この様なパソコンは中のデータを完全に初期化しきれいな状態でOSからインストールしなおす事が最も有効です。
どうしても使わないといけない場合(まずそう言う場合はないでしょうが)
利用後パソコンのOSを初期化する(リカバリーする)などの準備が出来ること前提で
行ってください。簡単は方法は初期化するしかありません
【一般家庭では、以下の点に注意してください】
・ご家族で利用しているパソコンの場合は、誰かが使用している可能性があります。使用状況を確認しファイル交換ソフトの危険性に呼びかけましょう。
・ウィルス対策ソフト、パソコンのアップデートは常に最新のものになるよう心がけましょう。
詳細は当社ホームページでも紹介しています。
【企業・団体では、以下の点に注意してください】
・業務に使用する全てのパソコン(個人所有を含む)にWinnyをインストールしないルールを策定し徹底してください。
・業務に個人所有のパソコンを使用する場合のルールの策定し徹底してください。
・個人情報等の重要情報を社外に持ち出す際のルールの策定し徹底してください。
・Winny等のファイル交換ソフトウエアの危険性に関して従業員への周知徹底を行なってください。
・社内の情報セキュリティ対策の再確認を行なってください。
参考(総務省:Winnyを介して感染するコンピュータウィルスによる情報流出に関する注意喚起) より
ファイル交換ソフトをめぐる今
ファイル交換ソフトによる危険性が大体的に認知された事を受けて、現在様々な対策・サービスが繰り広げられています。
・ウィルスソフト、セキュリティソフトメーカーでは、Antinny(アンティニ−)対策機能を盛り込んだ商品、
またはアップデートがリリースされています。
・一部のセキュリティソフトメーカーでは、Winnyがインストールされているか確認し、削除するプログラムを提供しています。
※Windows XP 等で、複数のユーザーで1台のPCを使用している場合、各ユーザーアカウント毎に同様の検出、
削除の処置を行う必要があります。
・Winnyがインストールされているパソコンでは、暗号を解読しない暗号化ソフト・利用できないUSBメモリが発売されています。
などなど対策を講じるものは現在も日々リリースされています。 |